想い出で愛しタ。

甘く溶けるような時間ではない。
暖かく優しいけれど
甘美で刹那的なほろ苦さがない。
君と抱き合う時間は
嫌いじゃないよ、好きだよ?
だけど 君はチョコレェトじゃないから。
其れは仕方ないよね。

窓際で、僕は日差しと風を浴びて 煙草に火を点けた。
其処から見下ろしたコンクリィトは
鈍く太陽の光を跳ね返して
逆さに堕ちて逝く僕を映した。
もしも映ったのが君だった成らば
僕は愛してると云っただろうか。
遠い昔の、あの日々の君。

二度と感じることは無いかもしれない。
チョコレィトのような快楽。
甘くて溶けそうな時間。
何処か切なく、壊れそうな想い。

喩え逢えた処で、もう彼に言う言葉は何一つないと思った。

葬られて逝くのだ、何時かは全てが。
思い出の中では永遠に生きるかも知れなくても
僕の今の瞳に映りはしない。