凍りついた香り / 小川洋子
小川洋子好き。
珍しくわりと長めの長編だった。
この人の文章は、いつもどこか、悲しい。
決して湿っぽい書き方をする訳じゃなくて
むしろ淡々とした文章なのだが、
静かな哀しみや寂しさが
物語の底のほうに常に漂ってる。
悲しい話を書いてるときも、書いてないときもだ。
その感じがすごく好き。
雨が似合う。
これは、死んだ調香師の恋人の跡をたどる女性の話。
明らかになっていく恋人の素性や過去の出来事。
主人公は、その軌跡を大切に指でなぞっていくように
彼の跡を求める。
ただ、実は話自体はちょっと微妙かも。
恋人がリアルじゃないと思った。
数学とスケートと、匂いを嗅ぎ分ける天才で、素性不明で、
人の罪を被ったりする(←ちょっと語弊がある)ような美青年。
脆くて透明な、現実離れしたキャラクターなんだと思うのだけど
少し現実離れしすぎて冷めてしまった。
すごく魅力的で好きなんだけどね、彼。王子様みたいで。
後半に出てくる孔雀の番人は、正直微妙。
ルーキー(死んだ恋人)にすでに非現実感を感じてたもんだから
それが余計に増してしまった。
非現実的な話は確かに小川洋子に多いが
いつもはあまり感じないのだけれど。
記憶と香りが、冷えた空中で混ざり合っているような。
そんな感じ。
少し物足りない気がしてしまいました。うーん。
好きなんですけどね、この人の本。
『薬指の標本』とかすごく。
もっかい読みたいな、薬指。
しかし前回2冊と比べると やはり断然読みやすくて軽いですね。
今はまた重たいの読み出して、、、
『罪と罰』ドストエフスキーです。
上下で両方分厚いから時間かかりそ~
はい今回もレビュー下手。