Rouge&Noir

二年生になって、あたしの学科がやっと専門授業を取れるようになった。

文学講義は
マンガ・アニメ論
ジェンダー
広告文芸論
なぜか哲学が2コマ
哲学講義の片方は、先生がなんか好き。
わりと若くて、すぐ余計な話をはさむんです。
例にあげた「ネコ」の単語から
「前にね、、、でさ。ネコってさ、絶対会議ひらいてるよね?」みたいな感じで。もう超かわいい。
口癖は
「え、そんなことない?」

哲学苦手だけどがんばる。

今期、恐らく一番真面目に受けてる授業が、ジェンダー論。
実際に女性から男性への性適応手術をうけた、虎井まさ衛という方が教授。
毎回前から3列目くらいで受けてます!
有名な方らしく、「金八先生」で上戸彩が演じたTGの学生も、モデルは虎井先生らしい。
以下ジェンダーセクシャルマイノリティに関して
たぶんマジメで、ぶっちゃけた話。
長いでーす

 

講義でやるのは、主にGID(Gender Identity Disorder)、性同一性障害の話。
ここ数年、ドラマやタレントなどでメディアへの露出も多く、名前を知ってる人もかなり増えたのではないかと思う。
はるな愛椿姫彩菜なんか、すごい有名なったし。
知ってるひとが増えるのは、いいことだと思う。
=理解されていくこと、ではあり得ないけど、知識があれば共感できるひともきっと増える。
少なくとも、未知なものに対する拒絶反応は減るんじゃないかな。

昔、新宿2丁目のクラブに出入りしていたおかげだと思うけど
私自身は、セクシャルマイノリティに対しての差別感情は皆無だ。
GIDに関しても同様だと、思ってる。
17くらいのころから、彼らはわりと当たり前に私の周りにいて
それはメディアや何かで知識を植えつけられる前であったから
(今ほど露出もなかったように思う。近年急激に増えた気がするなあ)
私にとって、彼らの存在はそれほど異常なことでもなかったんだと思う。
むしろ、深く考えたことがなかったかも。
GIDって言葉もよく知らなかった。
セクマイの間ではTS(Trans Sexual)を略した、「トラさん」なんて愛称で呼ばれていたりもした。
それはもう、ほんと気軽に。

18歳ころ、えいたってひとに出会った。
彼はGIDだった。
セクマイの集まりで出会ったから、最初からそのことは知ってたんだけど。
いつからか、家に通ってお泊りしたりするようになった。
あたしは彼に出会うまで、GIDに関する詳しい知識は持ってなくて。
彼は本名を言いたがらなかったし
抱き合うときも、決して服を脱がなかった。
着替えてるとこすら、記憶にない。
あたしは彼の肌に触れたかったし、彼の色々なことを知りたかったから、そういうことに多少なり不満を感じてた。
その後GIDについての知識も徐々に増えて、
彼らにとって、自分の身体的性別を示すものを晒すのがどれだけ苦痛であるか知っていった。
今回の講義でも、自分の高い声が嫌で金串を声帯に突き刺しただの、聞くだけで痛い話もあった。
今思うと。
一度だけ言った「どうして脱いでくれないの」ってあたしの言葉は、彼をひどく傷つけたのかもしれない。

彼とは忙しくてどんどん会えなくなっちゃって、広島に帰るってのをきっかけに、バイバイした。
手術費のためにすごい働いてるって知ってたけど
正直あの時、ほんの少しそれも疑ってたな。
今回虎井先生に倒れるほど働いたっていうのを聞いて、ああ本当に忙しかったんだなって、今になって思った。
あ、なんか若干恋愛回想になってる。

もう一人親しい友人に、こないだ姓名変更も完了した子がいる。
出会ったころは、あたしの中で「ボーイッシュな女の子」だったから
ホルモン注射して、身体も声も変わってくその子に、正直戸惑うときもある。
特に電話。声がすごい低くなってくから、別人みたいで。
会えば中身は一緒だから、RはRだなってほとんど気にならないんだけど。

GIDの苦しみは、あたしは一生理解出来ない。
それは仕方がない。
けれど受け入れることは、いくらでも出来る。
日本語訳で「障害」なんて大層な名前がつけられるけど
彼らはただ単に、彼らのまんまでいようとしているだけであって。
これからもっともっと、彼らが生きやすい世になっていけばいいな、と思う。
こういう風にあたしが思えるのはみんなに会えたからだろうなー。

***
ジェンダー論で紹介された映画をひとつ。

 

 
あるGIDのひとのドキュメンタリー。
救われない、話です。
しばらくは笑えない感じ。これが実話だなんて。
正直ほんとに、落ち込みます。
私に何が出来るか。
ブログで記事を書いて、ほんの少しでも変化が起こるだろうか。