壁 / 安部公房

安部公房久しぶりですね
2,3年前に、「箱男」と「水中都市~」を読んだ記憶がある

箱男」もそうだったけど、この人がいいたいことはひどく難しい、、
今回の中身は短編集で、「S・カルマ氏の犯罪」「バベルの塔の狸」「赤い繭」。

「S・カルマ氏の犯罪」

主人公は自分の名前を失くして、社会的存在をも失っていく。
確かに私は私の名前があっての私なわけで
これを失ったとき、社会的に存在を是認はされないのかもしれないな~

なんていうか、現実に起こりえない、
訳のわからない感じが最初はすごく面白かったんだけど
読み進むにつれて本当についてけなくなっちゃって。
名前を失くした主人公は、胸の中の虚無に絵本の荒野を吸い取りラクダを吸い取り…
彼の周りの無機物はボイコットを起こし
そのうちに、彼の胸の中の砂漠へ行くことになって
最終的に彼自身がその砂漠に取り込んだ壁、世界の果ての壁になる、っていう

うーん あらすじすら書けねええええwwww
ちょっと難しすぎるよ、この人の世界。

バベルの塔の狸」

もっと意味わかんない。カルマ氏のほうが、まだ面白さが多少わかったと思う、、。
シュールリアリズム、と繰り返す。
影をとられて消滅していく「自分」、代わりに「とらぬ狸」?

「赤い繭」

これはショートショートがつめこんであった。感覚で読んで、一番面白かった。

壁をもった家が並ぶ。私の家だけがない。最後は、私の繊維に包まれて、「赤い繭」。

液化した人間が溢れる。壁をも乗り越えて、「洪水」。

壁に書いたものが全て具現化する「魔法のチョーク」。
窓だけでは足りぬから、世界を創造しなければならない。最後は彼も壁の一部。

グロい。しかし、確かに。人間をソーセージに加工する、これが最も合理的な「事業」。


この「壁」は芥川賞受賞作品なんだけども
難しいなあ、この人ほんと。読むのに体力つかう。
箱男」も、眉間にしわ寄せて読んだ。面白かったけど。
「水中都市」はたしか短編集で、「闖入者」をよく覚えてる。

いつか、「砂の女」とかも読んでみたいんだけど、、、
自分なりにこの人の作品を理解してみたい。

 

壁 (新潮文庫)

壁 (新潮文庫)